【5月26日 AFP】フランスで25日、インフルエンサーやユーチューバーに対し、金銭を見返りに米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)が共同開発した新型コロナウイルスワクチンを中傷するよう求める謎の依頼があったとのニュースが飛び交った。

 依頼メールを受け取ったのは、健康や科学の分野で積極的に発言している人々で、「莫大(ばくだい)な予算」を持つクライアントの代理を名乗る英拠点の広告代理店から「パートナーシップ」を提案するメールを受け取ったという。「クライアント」は匿名を希望し、また秘密裏に取引したいという内容だった。

 ユーチューブ(YouTube)で120万人近いフォロワーを持つ人気科学チャンネルを運営するレオ・グラッセ(Leo Grasset)氏は、「奇妙な話だ。動画でファイザーのワクチンをたたくことを含むパートナーシップ提案を受けた」とツイートした。「莫大な予算があって、クライアントは正体を伏せたい、そして契約を隠さなければならない」という提案だったという。

 さらにグラッセ氏は、「信じられないことに、連絡してきたロンドンの代理店の住所は偽物だった。そこにそんな会社は最初から存在せず、レーザー手術センターだった。スタッフ全員のリンクトイン(LinkedIn)のプロフィルもおかしい」と指摘した。

 グラッセ氏が見つけたプロフィルは現在は消えているが、同氏は確認した時、「全員にロシアでの勤務経験がある」ことに気付いたという。

 約40万人のフォロワーを持つコメディアンのサミ・ウラディト(Sami Ouladitto)氏や、インスタグラム(Instagram)で8万4000人のフォロワーを持つ病院のインターン、エ・サ・ス・ディ・メドゥサン(Et Ca Se Dit Medecin、そして彼らは自らを医師と呼ぶの意)氏も同様の依頼があったと述べている。

 フランスのオリビエ・ベラン(Olivier Veran)保健相は25日、ニュース専門局BFMTVに対し、こうした試みは「哀れで、危険で、無責任で、うまくいくことがない」と語った。

 また、フランス人は大部分がワクチン接種に賛成しており、「彼らをワクチンから遠ざけようとする試みがうまくいくとは思えない」とも述べた。一方、今回の依頼がロシア発のものかどうかは「全く分からない」と付け加えた。(c)AFP