【5月25日 People’s Daily】中国河南省(Henan)中牟県(Zhongmu)の官渡鎮(Guandu)孫荘村の農園では、村民たちが野菜の水やりの最中である。「最近はアルバイトに行って技術を勉強し、土地を出資して配当が入り、1年の収入が5万~6万元(約80万~100万円)になりました」と、村民の劉建玉(Liu Jianyu)さんは言う。現在、彼らの農園はすでに省都である鄭州(Zhengzhou)の重要な農産物生産拠点となっており、400人以上の労働力を抱える。

 中国国家統計局の発表したデータでは、2021年第1四半期において、中国の農村住民の平均手取り収入は5398元(約9万1330円)であり、物価の影響を除いて実質16.3%増であった。農業による農村経済の運用は良好と言える状況であり、第1産業は1兆1332億元(約19兆1740億円)の伸びを見せ、同期比8.1%成長した。

 国務院発展研究センター農村経済研究部の葉興慶(Ye Xingqing)部長によれば、Uターンプロジェクト1つあたり6.3人が安定した職に就き、17.3人が自由な職に就くという。地元に帰った、もしくは地元にとどまった1900万人以上の人々が自分の家の近くで就職をした。

 科学技術の刷新によって農業の生産方式も転換し、少なからぬ農民が増収を手にした。江蘇省(Jiangsu)沭陽県(Shuyang)青伊湖鎮(Qingyihu)のあぜ道では、穀物農家の騰雲飛(Teng Yunfei)さんが受け持った1万3000ムー(約8.6平方キロメートル)あまりの麦畑は、30台の無人機が音を立てて植え付け作業をしていた。科学技術を駆使した農法で、去年は1ムー(約667平方メートル)あたりの純収入が500元(約8000円)以上増加し、総収入は600万元(約1億円)以上になった。

 化学肥料から有機肥料への置き換えや、殺虫剤から粘着板・誘蛾灯などの物理的方法への置き換え、エコ農法の発展を通じて、江蘇省泗陽県(Siyang)王集鎮(Wangji)の桃農家、章健(Zhang Jian)さんは成果を手にすることができた。エコ認証を受けたのち、章健さんの家の桃は上海のさまざまな大手スーパーに入荷されるようになった。3kgの贈答用の桃は注文が絶えない。

 生活水準の向上に伴い、中国国民の間では質の良いエコフレンドリーな商品に対する需要が高まっている。今年の第1四半期において、中国の農産物が品質安全通例観測に合格する率は安定して97%以上の水準を保ち、エコフレンドリー・オーガニック・地理的表示のある農産物は累計5万3800種類にも及んでいる。農業農村省発展計画局の曽衍徳(Zeng Yande)局長の説明によれば、消費のアップグレードによる需要に適応するため、将来的に農業はさらに高レベルかつ専門的にエコ農法を発展させていくと考えられる。

 レジャーとしての農業も急速に興隆しており、農村を発展させる上で多様な効果を発揮し、産業の付加価値と効率を上げてもいる。2020年、中国でのレジャー農業は営業収入6000億元(約10兆円)に達した。今年は150のレジャー・観光・名産・景観などを繋いだ街道を建造し、200のリゾートを建設する予定である。

 農業の質の高い発展は農村に新たな活力を吹き込み、農民の増収に向かった新たな動きが生まれている。清華大学(Tsinghua University)中国農村研究院の張紅宇(Zhang Hongyu)副院長によれば、生態系を優先し、質の高い発展を推進すれば、農民の増収にさらに効果があるという。(c)People’s Daily/AFPBB News