【5月24日 AFP】犬は、新型コロナウイルスの陽性者を90%以上嗅ぎ分けられるという研究結果が24日、発表された。無症状の感染者も見つけられるという。研究者らは、隔離する入国者を減らせるかもしれないと期待を寄せている。

 犬は、並外れた嗅覚を生かして、がんやマラリア、てんかんなどの病気を嗅ぎ分けられることがこれまでに分かっている。

 英ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(LSHTM)の研究者らは、新型コロナウイルス検査で陽性と判定された無症状の人から発せられる化学物質のにおいを犬が探知できるかどうか調べた。

 新型コロナウイルス検査で陽性を示した人の衣服やマスクのサンプルを集め、訓練した犬で実験したところ、犬はサンプルの82〜94%を正しく識別することができた。

 論文の査読はまだ終わっていないが、著者らは、いずれは犬が嗅ぎ分けることで入国者を隔離する必要がなくなるかもしれないと期待している。

 論文の共同執筆者、LSHTMのジェームズ・ローガン(James Logan)氏は、「重要なポイントは、犬(の嗅ぎ分け)は他の検査より断然速いこと」だと指摘。「犬が(入国者に対して)最初の選別検査を行い、陽性のおそれありと判定された人にPCR検査をすることができるかもしれない」と続けた。

 今回の研究に関与していない英ブリストル大学(University of Bristol)のミック・ベーリー(Mick Bailey)教授(比較免疫学)は、「研究の端緒として極めて重要であり、便利なシステムに発展する可能性がある」と述べた一方、「犬が無症状の新型コロナウイルス感染者を、空港や駅で確実に探知できると確信できるようになるには、もっと検証が必要だ」と指摘した。

 映像は新型コロナウイルスの探知訓練を受ける犬。タイ・バンコクで21日撮影。(c)AFP/Patrick GALEY