【5月27日 東方新報】中国浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)のサファリパークで3頭のヒョウが脱走する騒動が発生した。脱走以上に恐ろしいことは、サファリパークがヒョウの逃亡を発表しなかったことだ。警察は責任者を拘束し、刑事責任を追及している。

 ヒョウが脱走したのは杭州野生動物世界(Hangzhou Safari Park)。1日には、近くの農民が林の中でヒョウらしき動物を発見している。その後、警察が捜索を始めたが、杭州野生動物世界はマスコミの取材に対し、「施設から動物は逃げていない。林の中にヒョウが出現したと連絡があり、人員を派遣して捜索に協力している」とうその説明をした。サファリパーク周辺はわずか2キロ離れた場所に別荘地があり、防犯カメラの映像では7日、住宅街の近くを1頭のヒョウが歩き回っていた。

 杭州野生動物世界は8日になって脱走の事実を公表して謝罪。1週間にわたる隠蔽(いんぺい)の理由を「ヒョウは3頭とも子どもで攻撃性は低く、危険性はほとんどないと考えた。むしろ発表することで近隣のパニックが起きることを恐れた」などと説明した。3頭のうち2頭は麻酔銃などで捕獲され、残る1頭は警察やドローンを使った捜索で引き続き行方を追った。脱走の経緯は不明という。

「脱走したヒョウは子どもで攻撃性が低い」という説明はまったく説得力がない。見慣れない環境に置かれた動物こそパニックに陥り、動いている人間を襲う可能性がある。中国では4月23日、黒竜江省(Heilongjiang)の農村で推定2~3歳の野生のアムールトラが村民に襲いかかる事件が発生したばかり。アムールトラは山間部から迷い出たとみられ、走っていた車に自分から猛スピードでぶつかって窓ガラスを破壊し、農作業をしていた村民に襲いかかって大けがをさせた。

 杭州野生動物世界は休園となり、杭州市の警察は10日、杭州野生動物世界の社長ら5人に刑事強制措置を取り、捜査をしていると発表した。(c)東方新報/AFPBB News