【5月24日 AFP】フランスのジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)外相は23日、パレスチナ人国家が樹立されなければ、イスラエル国内で「長期にわたるアパルトヘイト(人種隔離)」が行われる恐れが高いと警告した。

 ルドリアン氏は、イスラエルについて「アパルトヘイト」という表現を最初に使用した仏政府高官の一人。アパルトヘイトは、1948〜91年に南アフリカ政府が行っていた白人至上主義に基づく制度化された黒人差別政策だ。

 イスラエル政府は、人種差別的な政策は一切行っていないと怒りもあらわに否定している。

 ルドリアン氏は仏民放ラジオ・テレビ・ルクセンブルク(RTL)と朝刊紙フィガロ(Le Figaro)のインタビューで、パレスチナとイスラエルとの最近の衝突に言及。パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への攻撃が激化する中、イスラエルの複数の都市で相次いで発生したユダヤ人とアラブ系イスラエル人の衝突について語った。

 一連の衝突では、イスラエル国内に暮らすアラブ系住民の中にくすぶっていたパレスチナ人弾圧への怒りが噴出し、長年にわたるユダヤ人との共存関係を脅かしている。

 ルドリアン氏は「もしも今後、われわれが2国家共存以外の解決策を取れば、長期にわたるアパルトヘイトの材料がそろうだろう。それが今回初めて、はっきりと示された」と発言。イスラエルがこれからも「1国家の論理に基づいて」行動するならば、「アパルトヘイトのリスクは高い」と述べた。

 また、イスラエルとパレスチナの現状が「このまま維持されたとしても、(アパルトヘイトは)起き得る」と警鐘を鳴らした。

 その上でルドリアン氏は、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)とイスラエルとの11日間にわたる衝突は、停滞している中東和平プロセスを再開する必要性を示しているとの見方を示した。(c)AFP