【5月22日 Xinhua News】中国科学院南京地質古生物研究所によると、中国や英国、ドイツ、米国などの古生物学者が最新研究で、3億5千万年前に地球が急激に寒冷化したのは種子植物の大繁殖が重要な原因だったと発見した。現在の気候変動に対処する重要な手掛かりとなる可能性がある。

 研究を主導した同研究所の陳波(Chen Bo)副研究員によると、46億年の地球の歴史では、温暖化と寒冷化がたびたび繰り返されてきた。中でも約3億5千万年前から2億7千万年前にわたる寒冷期は、地球全体を「温室」から「氷室」に変えるほど大規模なもので「古生代後期の大氷河期」と呼ばれている。

 研究チームは今回、この時代の化石に含まれる炭素やストロンチウム、酸素などの同位体を詳しく分析し、「大氷河期」前後の大気中の最も主要な温室効果ガスだった二酸化炭素の含有量変化や岩石の風化、古代の温度変化パターンを再現。種子植物の多様性や分布の変化と結び付けて、当時の種子植物の大繁殖が、急激な寒冷化の重要な原因だった可能性があるとした。

 科学研究チームが復元した「大氷河期」の発生経緯によると、「大氷河期」発生前には、種子植物の生長範囲が低・中緯度地域から高緯度地域に急拡大していた。植物の大量生長と拡張が、大気中の二酸化炭素含有量に対し、①植物の増殖が岩石の風化を加速させ、風化によりケイ酸塩と二酸化炭素が反応して海底に炭酸塩の堆積が形成された②植物の光合成が二酸化炭素を固定し、有機物を含む地層が形成された-の二つの面で影響を与えた。これら二つのプロセスが空気中の二酸化炭素を大量に消費し、最終的に気候の寒冷化をもたらした。

 陳氏は「研究が地球の歴史を理解するのに役立つだけでなく、現在の気候変動対応にも参考になる可能性がある。現在、われわれは新たな地球温暖化のプロセスに直面しており、何億年も前に地中に埋もれた石炭や石油などの有機炭素が燃やされて再び大気中に入り、空気中の二酸化炭素含有量を増加させ、氷床が溶けている。これは3億5千万年前とほぼ正反対の状況だ。気候の調整における陸上生態系の役割をさらに研究することで、例えば、広範囲の植林や植物の二酸化炭素吸収・固定機能を利用して、地球を『冷やす』ことなどが考えられる」と述べた。

 研究結果はこのほど、国際的地学誌「Earth and Planetary Science Letters」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News