【5月20日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は18日、南米ペルーで大規模な鉱山事業の現場近くに住む多数の先住民が、体内に取り込まれた高濃度の金属や有害物質を調べる検査で陽性を示し、健康危機に直面していると警鐘を鳴らした。

 アムネスティの報告書は、クスコ(Cusco)州南東部エスピナル(Espinar)郡の先住民カーナ(K'ana)人の健康を守る義務を、ペルー政府が「怠っている」と非難している。クスコには、同国の観光地として最も人気が高いマチュピチュ(Machu Picchu)遺跡がある。

 調査の責任者マリア・ホセ・ベラメンディ(Maria Jose Veramendi)氏はAFPに対し、2018年から2020年にかけて同地域の11の先住民の居住地で検査を行ったところ、8000人が高濃度の鉛、ヒ素、カドミウム、水銀、マンガンの被害を受けていることが分かったと話した。

 アムネスティの米州ディレクター、エリカ・ゲバラ・ロサス(Erika Guevara-Rosas)氏は「科学的かつ独立したこの証拠は、エスピナルの地域社会が健康危機に直面していることを示している。政府は緊急にしっかりと対処する必要がある」と述べている。

 協力を志願した150人を対象にした検査では、78%の人から健康を害する濃度の金属や有害物質が検出された。ベラメンディ氏によると、住民らは検査の間にも頭痛や腎臓、前立腺、歯、胃の不調を訴え、悪性腫瘍も2人から見つかった。

 ペルーは世界有数の銅、金、銀、亜鉛、鉛の産出国。鉱業はこの10年間で同国の民間投資の16%、輸出の60%を占め、180万人の直接・間接雇用を創出している。(c)AFP/Ernesto TOVAR