【5月19日 AFP】イスラエルの空爆とパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)からのロケット弾発射の激しい応酬により、18日には双方にさらに犠牲者が出た。またエルサレム(Jerusalem)とヨルダン川西岸(West Bank)で「怒りの日」と称して行われたパレスチナ人の抗議行動により、緊張がいっそう高まっている。

 戦闘停止を求める声は高まっているが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)の実効支配下にあるガザ地区への攻撃を「必要な限り」続けると表明した。

 18日に行われた国連安全保障理事会(UN Security Council)の4度目の緊急会合は声明採択に至らず、1時間足らずで終わった。

 パレスチナ保健省によると、パレスチナ人約200万人が暮らすガザ地区では、イスラエルのほぼ絶え間ない爆撃により、この1週間余りでパレスチナ人217人(うち子ども63人)が死亡、1400人以上が負傷した。

 イスラエル軍の攻撃を受けた現場では大きな炎や建物などの破片、黒煙が空まで上がっている。人道危機が深まる中、24時間態勢で防空シェルターへの避難を強いられる状況が続いており、ガザ近郊の住民は停戦を切望している。

 ガザ市(Gaza City)に住むナズミ・ダハドゥ(Nazmi al-Dahdouh)氏(70)は「家が破壊されたが、なぜうちが狙われたのか分からない」と語り、「恐ろしい、暴力の夜だった」と衝撃を受けたままだ。

 一方、ガザ地区からは今月10日以降、ハマスがイスラエルに向けて約3500発のロケット弾を発射している。

 イスラエル警察の発表によると、ハマスが発射したロケット弾により南部エシュコル(Eshkol)地区の工場で働いていたタイ人2人が死亡、数人が負傷した。イスラエルでの死者は計12人になった。

 18日はさらにヨルダン川西岸と東エルサレムの数か所で、ガザ地区に連帯するパレスチナ人のデモ隊がイスラエル軍と衝突し、多数の負傷者が出た。医療関係者によると、数十人が実弾で負傷し手当てを受けたという。

 フランス大統領府は18日夜、イスラエル・ガザ紛争の停戦を求める決議案をエジプト、ヨルダンと共同で、国連安保理に提出したと発表した。フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領、エジプトのアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領、ヨルダンのアブドラ・イブン・フセイン(King Abdullah II)国王がビデオ会議で決議案に合意した。(c)AFP/Sakher Abou El Oun with Ben Simon in Jerusalem