【5月19日 AFP】韓国首都ソウルの下水から、バイアグラ(Viagra)などの性機能改善薬の成分が高濃度で検出されたとする研究論文が、同国の研究チームによって発表された。都市部での排出量は今後さらに増える見通しだとしている。

 性機能改善薬には、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)と呼ばれる酵素を阻害する成分が含まれている。

 科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に今月掲載された論文によると、PDE5阻害成分の検出量は週末に増え、ナイトクラブやバー、性風俗店が多い江南(Gangnam)の下水処理施設で多く検出された。

 研究班は「PDE5阻害薬の使用量は、夜の歓楽街がない地域に比べると31%多いと推算される」としている。

 調査では、既存の下水処理施設ではこの量の残留成分は「処理できない」ことが示された。

  論文は、「家庭排水に含まれるPDE5阻害成分は下水処理施設でほとんど処理されないまま、最終的に水環境に排出されている」と指摘。「市場規模の拡大を考えれば、都市部における同成分の排出量はさらに増えるとみられる」としている。

 論文によると、30代の韓国人男性の約23%が勃起不全(ED)とされ、2019年の国内製薬大手20社によるPDE5阻害薬の販売総額は1億3300万ドル(約145億円)に上った。(c)AFP