ケニアでヘロインまん延 かつての密輸中継地が一大市場に
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【5月27日 AFP】ケニアの首都ナイロビに住むエスター・ワンジル(Esther Wanjiru)さん(22)がヘロインに手を出したのは16歳の時。赤ん坊を失ったつらさを紛らわすため、初めは煙を吸っていた。今は、大量に安価で出回るようになったことから、注射器で打っている。
「重度のジャンキー(常用者)だから、いつも2回分必要」と言いながら、ぼろぼろになった静脈に注射針を刺す。スラム街の教会裏の空き地に、60人ほどの常用者とたむろしている。
ケニアは、かつては欧州へのヘロイン密輸ルートの中継点にすぎなかったが、東アフリカを大量のヘロインが経由するうちに今や主要な最終目的地になり、常用者が増加している。
このごろでは、注射1回分はわずか120ケニア・シリング(約120円)ほどで手に入り、ワンジルさんのように困窮したケニア人は、薬物に依存してあっという間に身を滅ぼしてしまうことになる。ワンジルさんは、薬を手に入れるためなら何でもすると話した。たとえ犯罪や売春であってもだ。
ヘロインは、かつてアフガニスタンのケシ畑から持ち出され、陸路で中東を通り抜け、「バルカン半島ルート」を経由して欧州各地ヘ送られていた。
しかしシリアの内戦や、欧州への移民流入による国境管理の強化を受け、密輸業者は海路に目を向けた。船に積まれたヘロインはインド洋を渡り、警備の甘いアフリカの東海岸で陸揚げされ、そこから欧州に向け北上するようになった。