【5月23日 AFP】イタリア・ローマの中心部にある1950年代の建物。外観は何の変哲もないが、あるお宝が地下に隠されている。古代ローマ時代の「ドムス(住宅)」の跡だ。

 アベンティーノの丘(Aventine Hill)のふもとにあるマンションの入り口は至って普通で、買い物袋を持った住民が親切にもドアを開けて押さえてくれた。だが、中に進んで短い階段を下り、どこにでもあるような灰色の金属のドアを開けると、貴重な遺跡にたどり着く。紀元前1世紀から紀元後2世紀までさかのぼるドムスのモザイク画が見える。

 このモザイク画の上に、ローマ市民は何世代にもわたって6層に及ぶ床を重ねてきた。最後は2014年。建物は、国立労働銀行(National Bank of Labour)の本店として使用されていたが、その後、仏銀行大手BNPパリバ(BNP Paribas)に売却され、マンションとして改築するために掘削作業が行われている時に地下から遺跡が発見された。

「私たちは『遺跡を収めた箱』の中にいるのです。(中略)この建物には二つの役割があります。中にあるモザイク画を保護すること、そして一般人も出入りできるようにすることです」とローマの文化財担当者のロベルト・ナルドゥッチ(Roberto Narducci)氏は説明する。

 複雑な発掘作業は2018年に完了し、それ以降は、当局とマンションの取り決めにより、毎月第1・第3金曜日には、一般人もガイドの監督下で遺跡を見学できるようになった。

 ナルドゥッチ氏によると、住民らは階下にある古代ローマ時代の家を「誇り」に思っており、一般公開の日には優先的に見学できる。

 映像は6日撮影。(c)AFP/Gildas LE ROUX