【5月19日 CNS】水墨画などに使われる手すき紙「画仙紙(宣紙)」の産地・中国安徽省(Anhui)涇県(Jing)にある三星製紙の工房で先月26日、世界ギネス記録となる長さ約13.6メートル、幅約4メートルの画仙紙づくりに成功した。

 質の良い樹皮や稲わら、清水に恵まれた涇県の画仙紙は、国の無形文化遺産に指定されている。その製作工程は100近くに上り、作業は複雑で熟練の技が必要とされる。三星製紙の張必良(Zhang Biliang)社長は「わが社には56人の紙すき職人、20人の乾燥職人、6人の裁断職人がいる。最初の原料作りに100人以上が携わっています」と話す。

 ギネス世界記録(Guinness World Records)の画仙紙作りでは、紙の原料と溶液を流し込んだ巨大な木枠を約50人の職人が囲み、均一な動きですだれを使って紙をすいた。ここで紙の厚みや平たん度を徹底するのが至難の業だ。張社長は「最初のチャレンジでは紙をすくのに4〜5日かかりました。2度目は4日かけても完成品が一つもなかった。今回は2日目に完成品ができました。職人同士の協力がうまくいきました」という。

 完成した画仙紙がゆっくり木枠から外され、乾燥職人たちの手によって壁板に貼り付けられると、工房に安堵(あんど)の声が漏れた。涇県丁家橋鎮(Dingjiaqiao)で生まれ育った呉炳炎(Wu Bingyan)さんはこの道37年で、乾燥工程を担当している。「すき終わった画仙紙を絞って乾かし、また水をつけてほどよい湿度を与え、壁板に貼り付けていく。このコントロールが難しい」と説明する。

 ギネス記録認定担当者の楊紹鵬(Yang Shaopeng)さんは巨大画仙紙をチェックし、「標準的な制作過程に基づき、水準の品質に達していることを確認しました」と話した。

 涇県丁家橋鎮には画仙紙の制作、加工、販売に関する工房や企業が1000に上る。画仙紙は日本や東南アジア、欧州など世界各地に輸出され、年間売上高は15億元(約255億円)を超えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News