「残されたのは、おまえだけ」 ガザ空爆を生き延びた乳飲み子と父の絆
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【5月20日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の病院で、モハンマド・ハディディ(Mohammad al-Hadidi)さん(37)は、一人生き残った生後5か月の息子をあやしている──イスラエルの夜間の空爆によりハディディさんの妻と他の子どもたちは死亡した。
「この世で私に残されたのは、おまえだけ」とハディディさんは、オマルちゃんに語りかける。
15日朝、オマルちゃんはがれきの中で発見された。亡くなった母親の腕に抱かれ、細い脚は3か所で骨折していた。
この空爆で、ハディディさんの妻マハ・アブ・ハターブ(Maha Abu Hattab)さん(36)と6歳から13歳までの兄弟4人が命を落とした。
「みんな神様を探しに行ってしまった」とハディディさんは声をつまらせて泣いた。「すぐにみんなと会える。おまえと二人で。ああ神様、ずっとは待てません」
ハディディさんは病室のベッドに座り、腕の中の息子の頬にキスをした。その顔は傷だらけで、茶色い巻き毛の下のまぶたは黒く腫れあがり、右脚はギプスで固定されていた。
■「お泊まりしたい」の電話が最後に
15日の空爆はイスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」の終わりを祝う大祭「イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)」と重なった。
前日の14日、オマルちゃんと4人の兄は母親に連れられて、ガザ市近郊のシャティ(Shati)難民キャンプに住むいとこを訪ねた。祭りの服を着て、おもちゃも持って行った。
「夕方、お泊まりしたいと電話をもらったので許可した」とハディディさんは振り返る。
その後、一人で寝入ったが「突然、爆撃の音で目が覚めた」。
隣人からの電話で、イスラエルのミサイルが妻と子どもらが滞在する建物に命中したことを知った。「必死に駆け付けたが、着いたときには、家はがれきの山だった。救助隊が遺体をがれきの中から収容していた」
その家の妻と4人の子どもも命を落とした。
ハディディさんが生き残った自分の息子を胸に抱きしめる映像は、ソーシャルメディアで広くシェアされた。