【5月18日 AFP】欧州のLGBTQI(性的少数者)の生徒・学生の半数以上が、性的指向を理由にいじめを受けた経験があることが、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)が17日に発表した報告書で明らかになった。

 国際LGBTQI若者学生連盟(International LGBTQI Youth & Student OrganisationIGLYO)は2019年、13歳から24歳の1万7000人を対象に調査を行った。これをまとめた報告書によると、回答者の約80%が、LGBTQIとみなされた他者に対する否定的な言葉を聞いたことがあると答えた。

 また調査対象となったLGBTQIの生徒・学生の3分の2以上が、自分自身が否定的な言葉を浴びせられたことがあると答えた。

 ユネスコは声明で、「あなたはなりたい自分になれる、自由になれる、学校で自分を表現できると誰もが言うが、人と違うようにあろうとすると反感を買う」という19歳のパンセクシュアル(全性愛)・ノンバイナリー(自らを男性と女性のどちらでもないと認識する人)の学生の言葉を引用した。

 さらに調査では、ほとんどの生徒がいじめの事実を教職員に報告したことがないと回答した。

 IGLYOのジョナサン・ベガー(Jonathan Beger)事務局長代理は、「多くの国で語られ方が変化しているにもかかわらず、LGBTQIの生徒・学生の多くが依然、学校で安全でない、歓迎されていないと感じている」と述べた。

 報告書は、多くの教師が「LGBTQIの生徒・学生をサポートするための自信と知識を持ち合わせていない」と指摘している。

 ユネスコとIGLYOは各国政府や学校に対し、LGBTQIやその歴史、経験を紹介する教育プログラムの改善を求めている。

 今回の報告書は、2004年に制定された「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日」に合わせて発表された。(c)AFP