【5月17日 People’s Daily】6.7秒ごとに1台の電子レンジを製造し、その精度は0.1ミリ単位-。中国広東省(Guangdong)の家電メーカー格蘭仕(Granz)は生産工程をインターネットで管理し、昨年は電子レンジの出荷台数を600万台増やした。

 格蘭仕は広東省仏山市(Foshan)の工場で昨年4月、工場内の設備や機器、業務プロセスなどのデータをインターネットで一元管理し、大量生産を実現する「インダストリー4.0」を正式に稼働。年間で1100万台の電子レンジを増産する能力があり、梁昭賢(Liang Zhaoxian)会長は「このプロジェクトの稼働により、高品質の製品を製造する『早送りボタン』を押した」と胸を張る。

 広東省では格蘭仕のように、データやデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革する「デジタルトランスフォーメーション」を実践する企業が増え、50万社以上が産業用インターネット技術を取り入れている。

 政府の「第14次5か年計画」と「2035年までの長期目標」では、デジタル技術と実体経済の融合、伝統産業の構造転換の支援、新しい産業・ビジネスモデルによる経済発展を提案している。 一大産業地の広東省では、製造業のデジタル化、ネットワーク化、インテリジェント化の推進に力を入れており、多くの製造企業が先進企業へと変身を図っている。

 新型コロナウイルスが拡大した昨年初め、電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は生産ラインでマスクを製造した。1月31日に生産切り替えを決定し、2月17日に量産を開始。3月12日には1日の生産量500万枚、3月27日には1000万枚、4月下旬には2000万枚と増加を続けた。世界の生産能力ランキングで1位となり、新型コロナの拡大防止に大いに貢献した。

 BYDの王伝福(Wang Chuanfu)会長は「生産ラインのデジタル化・自動化によって生産転換が実現できた。デジタルトランスフォーメーションは最適なソリューションを提供してくれる」と語る。

 家電メーカー大手の美的(Midea)の副社長兼首席情報責任者の張小懿(Zhang Xiaoyi)氏は「5GプラスIoT(モノのインターネット)の導入により、20種類以上の製品を同じ生産ラインで製造している。納品サイクルを56%短縮し、在庫は40%削減され、全体の効率を28%向上させた」と誇る。

 広東省では、製造業界のデジタルトランスフォーメーションを加速させている。掲陽市(Jieyang)はプラスチック産業の年商が300億元(約5100億円)に上るが、約2500社のうち85%は家庭内工業だ。広東省はデジタルトランスフォーメーションによる製造の集積化を図り、企業の生産効率を20~40%向上させた。仏山市では小型家電工場のデジタル産業チェーンを構築し、中小企業約200社の出荷サイクルを33%短縮し、1人当たりの生産額を33%増加し、さらに従業員を33%削減した。(c)People’s Daily/AFPBB News