【5月17日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で16日、イスラエル軍の攻撃により42人が死亡した。1週間前に始まったイスラエル・パレスチナ間における衝突での1日の死者数としては最多。

 拡大する紛争に対する懸念が世界で高まる中、国連安全保障理事会(UN Security Council)は同日、緊急会合を開催。国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は冒頭で、戦闘を直ちに停止するよう訴えた。

 エルサレム(Jerusalem)での騒乱を機に始まった今回の衝突はここ数年で最大規模まで拡大しており、双方の当局によると10日以降の死者数は、ガザ地区で子ども少なくとも58人を含む197人、イスラエルでは10人となっている。

 イスラエル軍は16日、ガザ地区からイスラエルに向けてこれまでに発射されたロケット弾が約3000発に上り、発射のペースは過去最多であることを明らかにした。同国軍はまた、民間人被害を避けるために可能な対策を全て講じていると主張。人口密集地域に軍事拠点を意図的に置いたとして、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)を非難した。

 ガザ地区では15日午後、衛星放送アルジャジーラ(Al-Jazeera)とAP通信(Associated Press)の支局が入居する高層ビルをイスラエル軍が空爆し、国際社会からは抗議の声が上がった。空爆の事前通告があったのはわずか1時間前だった。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は16日、ビルにはパレスチナの「テロリスト」情報機関も入居していたとし、空爆を擁護。一方、アルジャジーラ・エルサレム支局のワリド・オマリ(Walid al-Omari)支局長はAFPに対し、イスラエルには「真実を目撃・記録・報道するメディアを沈黙させる」意図があることは明らかだと語った。

 安保理の緊急会合は先週、イスラエルの同盟国である米国の異議により延期されていた。ジョー・バイデン(Joe Biden)米政権はこれまで、事態の鎮静化を訴える一方で、一貫してイスラエルの自衛権支持を表明。今回の衝突をめぐる安保理の声明採択に対しても、消極的な姿勢を示している。5月の安保理議長国である中国は16日、米国が声明採択を阻んでいると非難した。(c)AFP/Adel Zaanoun with Guillaume Lavallee in Jerusalem