【5月16日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で15日、イスラエル軍による空爆で一緒に暮らしている親族の10人が死亡し、また国際報道機関が入っている建物が倒壊した。これを受け、パレスチナの武装勢力はロケット弾による攻撃を行った。

 イスラエル側の戦闘機は人口密度の高いガザ地区の数か所を空爆した。この日は、ヨルダン川西岸(West Bank)でもパレスチナ人のデモ隊とイスラエル軍の衝突があった。

 攻撃されたガザ地区のシャティ(Shati)難民キャンプにある3階建ての建物では、一緒に暮らしていた2人の母親とそれぞれの子ども4人の計10人が死亡した。生後5か月の乳児も負傷した。

 家族のほとんどを失ったモハメド・ハディディ(Mohammed al-Hadidi)さんは、「なぜ、こんな目に遭わなければならないのか。私たちは民間人だ」と述べ、「彼らは私たちの子どもたちを攻撃している。子どもたちを、事前警告もなしに」と訴えた。

 イスラエル軍は、この建物はイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)の幹部が使用していたと主張している。

 パレスチナの武装勢力は報復としてイスラエル側にロケット弾を連射。これによりテルアビブ近郊で男性が死亡した。

 一方、15日午後には同じくガザ地区で、カタールに本拠地を置く衛星放送アルジャジーラ(Al-Jazeera)とAP通信(Associated Press)の支局が入居している13階建てビルが、避難勧告を受けた後にイスラエル軍によって空爆された。現場では大きな炎の玉が空まで上がった。

 アルジャジーラのエルサレム支局長、ワリド・オマリ(Walid al-Omari)氏はAFPに対し、「この戦いを仕掛けている者たちは明らかに、ガザに破壊と死を広めるだけでなく、真実を目撃し、記録し、報道しているメディアを黙らせることも目的としている」と語った。

 AP通信のゲーリー・プルイット(Gary Pruitt)最高経営責任者(CEO)は、この攻撃に「衝撃を受け、ぞっとした」と述べた。

 映像は、空爆で倒壊した、AP通信の支局などが入居していたビル。(c)AFP/Mai Yaghi with Jonah Mandel in Jerusalem