【5月14日 時事通信社】イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの交戦で、アラブ諸国が対応に苦慮している。同胞のパレスチナの権利を重視しイスラエルの強硬姿勢を非難しているものの、昨年以降イスラエルとの関係正常化を進めた国々もあり、反イスラエル感情の高まりへの警戒も強まっている。

 パレスチナを含むアラブ諸国・地域で構成するアラブ連盟は11日、オンライン形式で外相会合を開き、「国際法に反する犯罪の責任は完全にイスラエルにある」と批判。「侵略中止とパレスチナ人に不可欠な保護の提供」を国際社会に訴えた。イスラエルと国交を持つエジプトや、ハマスと緊密なカタールが事態収拾へ仲介に努めているが「必要な反応は得られていない」(エジプトのシュクリ外相)という。

 親イスラエルだったトランプ前米政権の働き掛けで昨年、アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンが対イスラエル関係を正常化。スーダンとモロッコも追随した。アラブ4カ国はイスラエルとの経済協力強化という実利を得たが、「パレスチナへの裏切り」と批判も渦巻く。

 一部でイスラエルと関係改善が進むとはいえ、アラブの世論は総じてパレスチナに同情的だ。国交を結んだモロッコでは今回の衝突を受け、市民がイスラエル国旗を燃やして警官隊と小競り合いになるなど、各地に反発が波及している。

 イスラエル国内でユダヤ人とアラブ系の市民の衝突が激化する中、アラブ諸国に滞在するユダヤ人が襲撃の標的になる恐れも指摘される。UAEのメディアは「正常化した国々がイスラエルとの友情関係を生かして侵攻を抑えられるかどうか、正常化合意をめぐる最大の試練となる」と指摘する専門家の見方を伝えている。(c)時事通信社