【5月15日 Xinhua News】中国科学技術大学は11日、同大学の研究チームが実験によって光量子情報のマスキングを実現し、量子情報を非局所的な量子もつれ状態の中に隠すことに成功したと明らかにした。研究成果はこのほど、国際的学術誌「Physical Review Letters」に掲載された。

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 量子情報のマスキングは量子情報を単一の量子キャリアから複数キャリア間の量子もつれ状態の中に完全に移すことで、こうすることで単一の量子キャリアからはどんな情報も取り出せなくなる。量子情報のマスキングは量子秘密分散(QSS)、量子ビットコミットメント(QBC)など実際の量子情報任務において幅広く応用されるだけでなく、量子情報の保存など基本的問題に対する理解を深めるのにも役立つ。

 研究は中国科学技術大学郭光燦(Guo Guangcan)院士(アカデミー会員)チームの李伝鋒(Li Chuanfeng)、許金時(Xu Jinshi)両氏らが、上饒師範学院の李波(Li Bo)、梁暁斌(Liang Xiaobin)両氏、南開大学の陳景霊(Chen Jingling)氏と協力して実施。実験によって光量子情報のマスキングを実現し、量子情報を非局所的な量子もつれ状態の中に隠すことに成功した。研究成果は量子情報マスキングの全く新しい量子情報処理プロトコルとしての実現可能性を示すもので、量子プライベート通信の理論研究と実際の応用にとって重要な意義がある。

 研究グループは量子情報のマスキングを基に、さらに三者間のQSSを実現するとともに、簡単な画像の安全な伝送に成功した。これまでの実験と合わせ、量子情報のマスキング操作を利用してデコヒーレンスがない部分空間をつくり出し、量子情報マスキングのフォールトトレラント量子通信における応用価値を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News