【5月22日 AFP】ハイタカの外見や鳴き声を忠実に再現したドローンが、キューバの飛行場で鳥を追い払っている。このドローンは、木材や金属片、プラスチックで作られたものだ。

 遠くから見ると鳥に見まがうかもしれない。ドローンは1.3メートルある翼で空を舞ったり、急降下したりと1時間ほど自律飛行できる。羽はやや硬いが印象的だ。

 ドローンを手掛けるのは、技術者集団「アラソルシオネス(Alasoluciones)」。1962年から米国の制裁下にある同国で、外国の技術に代わって、より安価な国産品を開発しようと活動している。

 アラソルシオネスのエルネスト・アラゴン(Ernesto Aragon)さん(50)は、「私たちは課題を解決したい気持ちをかたくなに持ち続けてきた」と語る。

 材料の調達や技術的な問題に加え、キューバ共産党(PCC)の管理下にあるため、民間の商取引が法律で禁止されていることも課題となっている。

■キューバ産の技術

 プロジェクト開始から4年。エンジニアらは、離陸から着陸まで自律飛行するドローンの開発に何とかこぎ着けた。

 このドローンは空港で鳥を追い払うのに使われている他、政府によって、農家の作物観察、ガス配管や電気設備、通信塔の点検などにも活用されている。

 キューバの法律では個人事業は禁止されているため、アラソルシオネスはこれまで企業登録ができなかった。

 だが今年2月、政府はこれまで厳格な管理下にあった2000以上の業種について、国家公務員ではなく民間の事業主としての登録を許可すると発表。4月に実施されたPCCの党大会では、マヌエル・マレロ(Manuel Marrero)首相が技術革新を促進するため、中小企業の登録を可能にする規定をまとめていると述べた。

 アラソルシオネスのエリック・カルモナ(Erick Carmona)最高経営責任者(CEO)は、「中小企業法が施行した時に、企業登録できるよう準備している」と語った。(c)AFP/Carlos BATISTA