【5月14日 People’s Daily】中国の知的財産権使用料の輸出額は5年連続で2桁成長を続けている。2020年の輸出額は86億8000万ドル(約9512億4120万円)に上り、年平均成長率は51.6%に達した。特許権・商標権による担保融資額は848億5000万元(約1兆4424億円)から2180億元(約3兆7060億円)に増加した。中国国家知識産権局の申長雨(Shen Changyu)局長は「最近の5年間で、わが国は知的財産権の侵害、偽造を徹底して取り締まり、ビジネス環境の国際化を確実に進めてきた」と成果を語っている。

 近年は中国企業が海外から商標権の侵害を受けることも珍しくなくなった。米国の自動車大手フォード・モーター(Ford Motor)の中国法人・福特汽車中国は、スポーツカー「マスタング(Mustang)」を中国で販売する際の名称に「野馬」を用いたが、同名のブランドで自動車製品を展開している四川省(Sichuan)の四川野馬汽車の商標権を侵害したとして、成都市中級人民法院(地裁に相当)は2018年、福特汽車側に「野馬」の使用停止と四川野馬汽車への賠償金100万元(約1700万円)の支払いを命じた。

 企業の海外知的財産権の紛争対応を支援するため、国家知識産権局は、国家海外知的財産権紛争対応指導センターと10か所の支部を設立した。現在、189か国・地域の知的財産権法令と国際条約、40種類以上の海外知的財産権実務ガイドラインを提供し、海外で商標を侵害された中国企業の権利保護のため、4万5000人以上の専門家を育成している。

 申長雨局長は「第14次5か年計画(2021~2025年)では、国家の経済的、社会的発展のため、知的財産権の保護業務が重要なことを示している」と強調する。

 第一に、第14次5か年計画では、知的財産権の強化戦略と保護・活用に関する特別計画を策定している。第二には、厳格な知的財産権保護制度の確立。権利を侵害した企業に対する懲罰的賠償制度を実行し、人工知能(AI)やビッグデータなど新しい知的財産権に関する立法を加速し、行政による仲裁・調停・権利支援制度を改善していく。第三に、改革を継続的に深化させていくこと。特許利益・報酬制度や評価システムの改善、インセンティブの向上などで特許集約型産業を成長させていく必要がある。第四に、インフラ整備の強化。知的財産権に関する情報化・スマート化を進める基礎インフラを強化するため、国家知的財産権ビッグデーターセンターを建設し、知的財産権の保護・活用のための公共プラットフォームサービスを構築していく。(c)People’s Daily/AFPBB News