【5月13日 AFP】米国は12日、中国が人権侵害を隠して体裁を繕うために、北京冬季五輪を利用するだろうと警鐘を鳴らした。

 米国務省は同日、信教の自由に関する年次報告書を発表し、中国における懸念点を指摘した。

 同省で信教の自由を担当するダン・ナデル(Dan Nadel)氏は記者会見で「これまで中国が行ってきた忌まわしい人権侵害を看過するわけにはいかない」と明言。

 さらに、「米国の優先事項が強調されるよう、五輪関連の方針や発信の方法を検討している」とし、これには「政治モデルを正当化し、人権侵害を覆い隠す」ために五輪を利用するという中国の狙いを阻止することも含まれると述べた。

 ナデル氏は、チベット(Tibet)や香港に加え、中国本土でも特に新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で人権侵害が行われていると主張。中国政府が新疆全体を「野外収容所」に変え、住民の動きを「詳細に監視」していると訴えた。

 北京五輪をめぐっては、人権団体や米共和党議員らがボイコットを呼び掛けている。ボイコットには米国内のスポーツ選手らが強く反発し、欧州諸国からの支持も得られないとみられており、ジョー・バイデン(Joe Biden)政権も、ボイコット支持の表明には至っていない。(c)AFP