【5月14日 Xinhua News】中国チベット自治区(Tibet Autonomous Region)のガリ地区は、平均標高4500メートルで「世界の屋根の屋根」と呼ばれている。この地ではかつて、長期的に野菜の供給が不足し、人々の食事は肉や乳製品などといった高脂肪・高動物性タンパク質の食品が中心で、食事の栄養バランスに偏りがあった。

 人々の食生活をより健康的なものにするため、地元ではここ数年、現代的な農業を精力的に推し進めている。高効率のソーラー温室と集約化された野菜生産基地の建設を支援し、「高原のゴビ砂漠」に「オアシス」をつくり続け、人々の食卓に野菜を届けてきた。

 2020年、ガリ地区では野菜の作付面積が2600ムー(約173ヘクタール)に上り、前年比680トン増の5300トン以上の野菜生産を達成した。また地元では、農牧民が自宅前の平らな土地に小型ビニールハウスを建ててチンゲンサイやダイコンなどを育て、野菜の自給率をさらに向上させることも奨励している。

 同地区農業農村局栽培業管理科の次仁頓珠(ツェリン・トンジュ)科長は「ガリ地区が温室栽培農業を発展させるには、気候や資金、技術面などで多くの困難や課題があったが、一般的な野菜栽培に成功しただけでなく、地元での生産に適したキノコ類の栽培やイチゴなどの果物の試験栽培も広まりつつある」と述べ、多くの品種の栽培成功は、ガリという土地にとってどれも記録的なことだと説明した。

 野菜の供給を確保するとともに、ガリでは果物栽培も勢いづいている。地元では20種類以上の果物や野菜を相次いで導入、初めて試験栽培したドラゴンフルーツやパッションフルーツ、レッドグローブなどの果物は、国内で最も高い土地での大規模栽培の事例となり、地元で栽培される作物の品種を拡充しただけでなく、人々の日常の食生活を充実させ、高地農業を発展させるための新たな道を探り当てた。(c)Xinhua News/AFPBB News