【5月14日 AFP】第2次世界大戦(World War II)時に、フランスで実施されたユダヤ人の一斉検挙の様子を捉えた写真が14日から、パリで初公開される。フランスは当時、検挙したユダヤ人をナチス・ドイツ(Nazi)の強制収容所へ送っていた。

「緑紙の一斉検挙」は、1941年5月14日と15日にパリで初めて実施された。仏国外出身のユダヤ人6000人以上が、定期的な登録手続きのためと称しパリ各地の市役所に呼び出された。

 フランス当局は、市役所に集まった男性3747人を逮捕し、パリ南部の収容所に移送した。その後数か月で約数千人が検挙された。

 収容所のユダヤ人らは1年後、アウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所に送られた。

 ナチスの宣伝部がプロパガンダ目的で撮影した「緑紙の一斉検挙」初日の写真98枚は最近、パリのホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)犠牲者にささげられた「ショア記念館(Memorial de la Shoah)」によって偶然発見された。

 写真の大半は、パリ11区にあるジャピ(Japy)体育館で撮影されたもので、ここでは1000人近くが逮捕された。写真は、一斉検挙初日から80年を迎える今月14日から同体育館で展示される。

 この中の1枚には、フランスにおける「ユダヤ人問題の最終的解決」を指揮したナチス親衛隊(SS)の隊員、テオドール・ダンネッカー(Theodor Dannecker)やフランソワ・バー(Francois Bard)仏警視総監が写っている。また、二度と会えないとは知らず、抱き合うカップルを写したものもある。

 ショア記念館の写真部門責任者は、「ナチスはこれらの写真で、ユダヤ人を人間以下の『寄生虫』と描こうとしていたが、そのプロパガンダとは真逆のものが見て取れる貴重な写真だ」と述べた。

 発見された写真は何年も前に、ノルウェーののみの市で骨董(こっとう)商の男性が買ったもので、男性は最近になりショア記念館に連絡した。同館は男性に、写真は同館が知る限り「緑紙の一斉検挙」を捉えた唯一の写真だと説明したという。(c)AFP/Alexandra DEL PERAL