【5月13日 AFP】中米グアテマラのパカヤ(Pacaya)山では2月から噴火が続いており、地元コミュニティーや当局が警戒態勢を敷いている。しかし、会計士のダビド・ガルシア(David Garcia)さん(34)にとって、山腹をゆっくりと流れてくる溶岩は調理場だ。

 ガルシアさんは、くすぶる溶岩の上で焼いた「パカヤピザ」をふるまい、観光客や地元の人々を驚かせている。

 火口から続く岩場を調理場に変えたガルシアさんはAFPに「今日は大勢の人が、火山の熱で焼いたピザを食べるという体験を楽しみに来ています」と話した。

 ガルシアさんは簡素な即席の調理台で、1000度まで耐えられる鉄板の上にピザ生地を広げ、トマトソースを塗り、チーズと肉をたっぷりとのせる。

 そして防護服で頭から足元のミリタリーブーツまですっぽりと身を包み、溶岩にピザをのせる。

 10分後、「焼けたぞ。あともう少しチーズを溶かそう」とガルシアさんは言った。

 ふつふつとチーズが泡立つと、観光客の一人が「とてもおいしそう!」と声を上げる。

 首都グアテマラ市から南に約25キロの位置にあるパカヤ山は、グアテマラに三つある活火山の一つだ。ガルシアさんのキッチンは、この巨大な火山を登り、腹をすかせた観光客を引き付けるようになった。

 この数週間、パカヤ山は定期的に溶岩を噴出しており、ガルシアさんは溶岩流の上で直接ピザを焼き始めた。溶岩流の一部は多くの人が住む地域に迫り、村人たちは噴火がやむことを祈っている。

 火山灰を含んだ噴煙が上がる空の下でピザを焼くのは、危険な行為でもある。オランダから来た観光客は「溶岩の上で焼いたものを食べるなんて、考えるだけでもおかしい。でも、ここ(グアテマラ)でしか見られない」と言った。(c)AFP