【6月20日 AFPBB News】太陽系探査の任務を担い、1977年に打ち上げられた米航空宇宙局 (NASA) のボイジャー1号(Voyagers 1)と2号(Voyagers 2)。地球を含む太陽系の姿を捉えた1990年の「太陽系家族写真」でミッションの撮影を完了したが、現在も「地球の音」を記録したレコードを携え宇宙の旅を続けている。

 ボイジャー1号は、地球から見て北方向に進んでいる。2012年には「太陽圏」を抜けた初の探査機となった。太陽圏とは太陽風、つまり太陽から放出される粒子の泡に包まれた領域のことだ。

 地球から見て南方向に進んでいるボイジャー2号も、2018年末に星間空間に突入した。

 ボイジャー1号と2号は、同じ内容の12インチの金メッキのレコード盤をそれぞれ搭載している。レコードには、60ほどの言語でのあいさつや、異なる文化・時代の音楽、地球上の自然・人工の音が納められている。地球文明のタイムカプセルであるとともに、未知なる生命体との出会いにも備えている。

 ジャケットには、レコードの再生方法が示されている。

 数々の新発見をし、打ち上げから40年以上を経た今も、星間空間から観測データを地球に送信し続けているボイジャーの足跡をたどった。

■ボイジャーの足跡

1965年夏:太陽系の巨大外惑星の木星、土星、天王星、海王星の探査を目的に計画。一つの惑星の重力を用いて次の惑星に到達するスイングバイ航法を実行可能な176年に一度の機会を利用するため、1970年代後半の打ち上げが予定される。

1977年8月20日:ボイジャー2号、ケネディー宇宙センター(Kennedy Space Center)より打ち上げ。打ち上げは1号より先だが、木星と土星に到達するのが1号より後になるため、2号と命名された。

1977年9月5日:ボイジャー1号打ち上げ。

1979年3月5日:ボイジャー1号が木星と最接近。木星の未知の衛星、輪や雷、衛星イオの火山活動などを発見。

1979年7月9日:ボイジャー2号が木星と最接近。未知の衛星や、衛星エウロパ表面の氷の亀裂などを発見。

1980年11月9日:ボイジャー1号が土星と最大の衛星タイタンに最接近。未知の羊飼い衛星や輪の詳細な構造、タイタンの地球に似た窒素に富む濃い大気などを確認。

1981年8月25日:ボイジャー2号が土星と最接近。テティスやイアペトスなどの氷に覆われた衛星も接近通過。衛星エンケラドス表面に古い地形と新しい地形があることを確認。

1986年1月24日:ボイジャー2号が天王星と最接近。未知の衛星11個、自転軸から大きく傾いた磁場などを発見。

1989年8月25日:ボイジャー2号が海王星と最接近。未知の衛星6個、南半球にあり反時計回りに回転する嵐「大暗斑」などを発見。

1990年2月14日:ボイジャー1号が太陽から60億キロ離れた場所で、「ペール・ブルー・ドット(淡く青い点)」に見える地球を含む「太陽系家族写真」を撮影。ミッション最後の撮影となった。

2012年8月25日:ボイジャー1号が人工物として初めて「ヘリオポーズ(太陽圏界面)」を通過、星間空間に突入。

2018年11月5日:ボイジャー2号がヘリオポーズを通過、星間空間に突入。

2021年:コーネル大学が、ボイジャー1号が星間空間でプラズマ波の「音」を検出と発表。

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