【5月12日 AFP】中国では、高齢者の数が急増しており、2050年までには人口の約3分の1を占めるまでに拡大するとみられている。世界第2位の経済大国である中国は、労働人口の減少と年金受給者の増加という、人口時限爆弾を抱えた状態だ。

 人口高齢化に伴い、中国が直面する問題をまとめた。

■高齢者人口

 今週発表された国勢調査によると、60歳以上の高齢者は約2億6400万人で、総人口の約18%を占めている。この割合は、2050年までに30%前後に達するとみられている。

 労働者100人に対する高齢者の数は現在の17.8人から急増し、2050年には46.7人となる見込み。

 米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)は、中国に次いで世界で2番目に人口が多いインドでは、2050年までの労働者100人に対する高齢者数は約19人にとどまると予測している。

■人口高齢化が急速に進む理由

 中国は一人っ子政策を数十年間続けた。一人っ子政策は数年前から緩和されているが、政府が望んでいたようなベビーブームは起こっていない。

 中国国家統計局(National Bureau of Statistics)の最新の統計によると、2019年の出生率は10.48。一方、世界銀行(World Bank)によると、インドの出生率は17.64となっている。

■家庭への影響

 中国では、高齢の親の介護は現役世代の子どもが担っている。一人っ子が大半で、負担は一人にかかっている。

 年金の支給開始年齢は現在、女性が55歳、男性が60歳だが、政府は段階的な引き上げを計画している。

 しかし、支給開始年齢の引き上げは、子ども世代に影響を及ぼす。共働き夫婦の多くが、子どもの世話を引退した親に頼っているためだ。

 公務員ではない市民の年間受給額は、平均4万元(約68万円)前後となっている。

■ビジネスチャンス

 調査会社「博聖軒(Daxue Consulting)」によると、中国では高齢者向けのエンターテインメントやサービス、ヘルスケア製品の需要が高まっており、大きなビジネスチャンスが存在する。

 調査会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」は、今年の「シルバー経済」の市場規模は、約9000億ドル(約98兆円)になると推定している。

■コスト

 介護市場は未発達で、その費用は高額だ。

 しかし、政府は投資を促しており、2029年末までに介護市場規模は13兆元(約220兆円)に達する見込みだ。

 保健当局は、2050年までに高齢者の介護費用が、中国の国内総生産(GDP)の4分の1を占め、介護産業が不動産業を抜いて同国最大の産業となる可能性もあるとしている。(c)AFP/Helen ROXBURGH