【5月14日 CNS】体の自由がきかなくなったらどうする?出産、事故、老化によって、尿・便失禁をもたらし、大人の身体の自由がきかなくなってしまう可能性がある。

 データによると、2019年、中国の大人の失禁用品の市場規模は93.9億元(約1588億円)に達し、2018年に比べ33.60ポイント増加した。現在、全国400社余りがこのビジネスチャンスを狙っており、中国の大人の失禁用品業界トップ10のうち5社が杭州市(Hangzhou)に集積している。

「浙江珍琦(Sunkiss)」は中国国内でいち早く大人用紙おむつセクターに進出した企業だ。2004年には、会社の業務は海外市場のみに集中し、商品は主に欧米や日本へ販売された。

「当時は国内での普及は難しく、多くの人は大人用紙おむつのことを知らなかった」と、兪飛英(Yu Feiying)会長は回想しながら語った。4年がたち、ようやく国内消費者が増えるに従い、珍琦は国内市場を開拓した。高齢化社会の深刻化に伴い、珍琦の大人用紙おむつの中国国内での売り上げは近年30%のペースで伸びている。

 しかし、兪会長によると、ピークへの到達にはまだ遠いという。「現在、中国では4000万人以上の失禁者がおり、ベビー用紙おむつの67%の市場浸透率に対し、大人用は8%にも達していない」という。

 安全・衛生を重視し、洗練された高品質を追求するベビー用おむつとは違い、消費者は大人用おむつを選ぶ際、低価格の商品を購入する傾向があることに兪会長は気づいた。「多くの人の購買習慣は、子どもには最高のものを、お年寄りにはそこそこのものを使うということだ。大人用紙おむつの価格には極めて敏感だが、安全問題は気にしない傾向にある」と、兪会長は述べた。

 その気持ちはよくわかる。「ベビー用紙おむつは新生を意味し、どんなに長くても3年くらいしか使わない。それに対し、大人用紙おむつはいつまで使うか予測できない」。統計によると、中国では、高齢者の寝たきり期間は平均9年近くもある。そのため、大人用紙おむつ1枚の平均生産コストはベビー用より高いが、販売価格はベビー用より低くなっている。

 今のところ、中国国内の一部の制紙企業が生産した大人用紙おむつの1枚の価格は3元(約50円)から4元(約67円)の間で、専門会社の製品は、ほとんど1枚1元(約16円)から3元の間となる。

 一日4枚から5枚を使う計算すると、大人用紙おむつの月支出は約300元(約5075円)から400元(約6766円)になる。

 現在、紙おむつをネットで販売しているお店には、「包装物には大人用紙おむつと表記しないでください」という購入者からのメッセージがときどき届いてくる。

「普及促進や、科学的な利用にはプライバシーを重視しないといけない」。兪会長によると、市場がより成熟した日本や欧米では、おむつはすでに豊富な形態を持っており、一部の紙おむつは外形や体感的に下着とほとんど変わらないという。

「紙おむつがパンツと同じようなら、それを使うのを恥ずかしいと思う?」兪会長は、これこそ業界全体が考えなければならない商品開発の方向だと考えている。紙おむつをより軽く、より通気性のあるものにすることで、商品を設計する当初から、ユーザーの心理的負担をなくし、より多くの人が尊厳をもって老化や失禁に直面できるようになるという。

 紙おむつ分野を開拓する生産者として、兪会長は、将来的には、大人用紙おむつはベビー用紙おむつと同様に、より一層重視されるようになると信じている。(c)CNS-錢江晩報/JCM/AFPBB News