【5月12日 AFP】年内に打ち上げが予定されている米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space TelescopeJWST)の最後の地上試験が11日に行われた。

 100億ドル(約1兆1000億円)を費やして製造された同宇宙望遠鏡は大きさ、性能ともに世界最高とされる。NASAによると、宇宙の起源を探る160万キロの旅を前にした最後の試験で、口径6.5メートルの巨大な主鏡が配置通りに展開された。

 製造を請け負った米航空宇宙大手ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)のスコット・ウィロビー(Scott Willoughby)氏は、米カリフォルニア州レドンドビーチ(Redondo Beach)にある同社の宇宙基地で、「高さ約12メートルのスイス時計を作るようなものだ(中略)しかも、月の4倍も遠い零下240度の真空空間を旅できるように」と語った。

 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はフランス領ギアナ(French Guiana)に移送され、欧州宇宙産業大手アリアンスペース(Arianespace)のロケット「アリアン5(Ariane 5)」で、10月31日に打ち上げられる予定。

 六角形のセグメント18枚から成る同宇宙望遠鏡の主鏡は、赤外線を反射しやすいように金でコーティングされている。折り紙のようにたたまれ、ロケット先端のフェアリング部分に格納された状態で運ばれる。展開する際には、アクチュエータと呼ばれる作動装置132個でそれぞれの鏡の位置を調整する。これらの鏡が一つの巨大な反射体として機能することで、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はかつてないほど宇宙の奥深くをのぞくことができるという。(c)AFP