■「私たちにはできる」

 アマチュアのチーム「小悪魔」は3年前、ホンゾノートの村役場が地元女性を対象にしたスポーツ振興を図って生まれた。公的な支援はなくなっていったが、選手たちのソフトボール熱はやまなかった。

 初めはテニスボールや借り物の用具を使用していたが、今では自前の用具がそろっている。憧れのプロ野球チーム、メキシコシティ・レッドデビルズ(Mexico City Red Devils)から贈られたものだ。

「小悪魔」の試合はすべて親善試合。メキシコにプロの女子ソフトボールリーグはないが、創設する話はある。

 東京五輪では初めてソフトボール競技に女子代表が出場する。チーム構成は、ほとんどが米国で生まれ米国でプレーしているメキシコ系の選手だ。

 世界野球ソフトボール連盟(World Baseball Softball Federation)の女子ランキングで、メキシコは米国、日本、カナダ、プエルトリコに続く5位。

 ソフトボールがメキシコに根付いてから1世紀以上たつが、「小悪魔」はこのスポーツの今後の成功に貢献したいと願っている。

 彼女らが住む地域社会は、長年直面している困難に加え、コロナ禍によって観光や建設業界で多くの仕事が奪われた。

「小悪魔」はガソリン代が無いために、ホームでしか試合ができない。だが、チームで積んだ経験が、グラウンドを離れても、生きることの励みになっている。

「ご覧のように、ここはたくさんのものが欠けていて貧しいです」とマイさん。けれど「やる気になればできます」と強調した。

「初めはこんなふうになると思っていませんでした。私たちにはできないとばかり言っていたけど、今なら、できるんだって知っています。そして、チームとして、もっとできることも」

 映像は4月3日撮影。(c)AFP/Alejandro Castro