【5月11日 AFP】ミャンマーで国軍がクーデターにより実権を握ってから、11日で100日となった。兵士の前でひざまずき、抗議デモの参加者を傷つけないよう懇願した修道女はAFPに、ミャンマーはクーデター以降、恐怖と絶望に覆われていると語った。

 反国軍デモが全国的に広がった3月、修道女のアン・ローズ・ヌ・トーン(Ann Rose Nu Tawng)さん(45)が、地面にひざまずき両手を広げ、「子どもたち」を撃たないよう訴える様子を捉えた写真が拡散した。

 アン・ローズ・ヌ・トーンさんは現在、最北部カチン(Kachin)州の診療所で働いており、治安部隊の弾圧による負傷者やストレス関連疾患の患者、自殺未遂者らの看護に当たっている。

「新型コロナウイルスの流行と国軍による残虐行為で気分が落ち込み、自殺を図る人が増えている」とAFPに語った。「人々は恐怖の中で暮らしており、希望が見えないと感じている」

 国軍は2月1日早朝、アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問を拘束し、実権を握った。だが、全国に広がった反クーデターデモを鎮圧できず、ミャンマーは混乱状態に陥っている。

 治安部隊は、連日のように続く抗議デモを弾圧。実弾を使用することもあった。現地の人権監視団体によると、民間人の死者は約780人に上っている。

 自分の数か月前の行動が勇敢だと称賛を受けているが、真に勇敢なのは今も闘い続けている若者たちだと、アン・ローズ・ヌ・トーンさんは言う。「彼らは未来のために、自らの命を犠牲にしている」

 軍と警察は毎晩、民家に押し入り抗議デモや、経済をまひさせるためのストライキ「不服従運動」の参加者を拘束している。

 危険と隣り合わせにもかかわらず、抵抗は続いている。その中心となっているのは、10年前の民政移管によって民主主義が広がり始めた以降に成人した若者だ。

 かつての首都ヤンゴンで抗議デモに参加していたある人はこう語った。「歴史の正しい側に付きたい」 (c)AFP