【5月11日 AFP】米国最大の石油パイプラインを運営するコロニアル・パイプライン(Colonial Pipeline)がサイバー攻撃を受け操業停止を余儀なくされたことを受け、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は10日、攻撃を実行したのはロシアを拠点とする集団だったと述べた。

 コロニアル・パイプラインは7日、サイバー攻撃を受けた措置として、安全のためにパイプラインの制御システムを停止した。全長約8850キロに及ぶ同社のパイプラインは、テキサス州とニューヨーク州を結ぶ最大の燃料輸送網。操業停止により、米東部の広範な地域へのガソリンやディーゼル燃料、ジェット燃料の供給に支障が出る恐れが出ている。

 連邦捜査局(FBI)は10日、攻撃を実行したのは「ダークサイド(DarkSide)」と呼ばれる集団だったと発表した。ダークサイドは昨年存在が明るみに出た集団で、企業のコンピューターに侵入・ロックして「身代金」を要求するランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃を仕掛けている。

 ホワイトハウス(White House)で会見したバイデン氏は、米情報機関からの情報として、今のところ「ロシア(政府)が関与したとの証拠はない」とした上で、「ただ実行犯、ランサムウエアがロシアにあるという証拠はある」と言明。「彼ら(ロシア)には、これに対処する一定の責任がある」と述べた。

 一方、ダークサイドは公式サイトで発表した声明で、自分たちは政府の支援を一切受けていないと主張。「私たちは政治とは無関係だ」とし、「私たちの目的は金稼ぎであり、社会に問題を起こすことではない」と表明した。

 だがサイバーセキュリティー会社クラウドストライク(CrowdStrike)の共同創業者ドミトリ・アルペロビッチ(Dmitri Alperovitch)氏はツイッター(Twitter)への投稿で、同社はダークサイドがロシア当局により保護されているとみていると説明。

 また、ウイルス対策ソフト開発企業エムシソフト(Emsisoft)のブレット・キャロー(Brett Callow)氏はNBCニュース(NBC News)に対し、ダークサイドのソフトウエアはロシア語や幾つかの東欧言語が既定言語となっているコンピューターでは動作しないように設計されていると指摘した。(c)AFP