【5月11日 AFP】新型コロナウイルス感染が爆発的に拡大するインドで、新型ウイルス感染中や回復後に、死に至る恐れもあるまれな真菌感染症「ムコール症」を患う人が増えている。同国の医師らが10日、AFPに明らかにした。

 人口世界2位のインドでは10日、37万人近くの新規感染が確認され、累計感染者数は2270万人に迫っている。同日の死者数は3700人余りだった。

 インドの医師らが「黒い菌」と呼ぶムコール症は、他の感染症により免疫が低下した人が患うことが多い。医療専門家らによると、インドではムコール症患者がここ数週間にわたり増加。同国の保健省は9日、ムコール症治療に関する指針を公表した。

 西部グジャラート(Gujarat)州コロナ対策タスクフォースのメンバーで、同州最大都市アーメダバード(Ahmedabad)の感染症専門家アトゥル・パテル(Atul Patel)氏はAFPに対し、「回復後の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者のムコール症発症例が、パンデミック(世界的な大流行)前の報告数の4〜5倍近くとなっている」と語った。

 州営病院のデータによると、グジャラート州ではこれまでアーメダバードを含む4都市で約300件のムコール症発症が報告された。同州当局は、州営病院に専用の特別治療棟の設置を命令。金融都市ムンバイのある西部マハラシュトラ(Maharashtra)州のタスクフォースメンバーの医師によると、同州でもムコール症発症が300件近く確認された。

 政府対応を主導する学術機関インド医学研究評議会(ICMR)はツイッター(Twitter)に投稿した図で、「ムコール症は治療されなければ死に至る恐れがある」と指摘している。(c)AFP