【5月10日 AFP】エリザベス英女王(Queen Elizabeth II)のいとこ、マイケル・オブ・ケント王子(Prince Michael of Kent)が投資家に対し、高額の仲介料と引き換えに、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領との面会の口利きを行っていたと英メディアが報じた。

 英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)と公共放送チャンネル4(Channel 4)の番組「ディスパッチ(Dispatches)」の調査報道によると、マイケル王子は韓国人投資家に成り済ました複数の記者らとのオンライン会合で、1日当たり1万ポンド(約150万円)で「内密に」プーチン氏の側近に取り次げると述べた。

 王子はまた、おとり調査用の架空の金取扱業の韓国企業「ヘドンの家(House of Haedong)」に対して、20万ドル(約2200万円)を支払えば会社の宣伝動画に英王室の名を出し、ケンジントン宮殿(Kensington Palace)内にある王子の自室を背景映像に使うこともできると述べていた。

 さらに、王子のビジネスパートナーのレディング卿(Lord Reading)は、覆面記者らが録音していた会合の席で、王子を「女王陛下の非公式の駐ロシア大使だ」と紹介し、「この話はあまり口外しないように」などと述べたとされる。

 調査報道によると、レディング卿は、2013年にケンジントン宮殿で催されたイベントを利用してプーチン大統領への取り次ぎを売り込み、将来プーチン氏と個人的に面会する機会も持ち掛けたという。このイベントにはマイケル王子も招待されていた。

 マイケル王子の事務所は英通信社プレス・アソシエーション(PA)に対し、王子とプーチン氏との特別な関係を否定。「王子は公的資金を受け取っておらず、40年以上経営するコンサルタント会社で生計を立てている」と説明した。王子がプーチン氏と最後に会ったのは2003年6月で、「以降はプーチン氏ともロシア大統領府とも接触していない」としている。

 一方、レディング卿は「間違いを犯した。本当に後悔している」と疑惑を認めた。

 マイケル王子は、プーチン氏がロシアの首相だった2009年にロシア連邦友好勲章(Order of Friendship)を授与されている。

 英国とロシアの関係は、2018年にイングランドでロシアの元スパイの毒殺未遂事件が起きて以降いっそう冷え込んでいる。(c)AFP