【5月11日 People’s Daily】北京市の延慶区(Yanqing)および河北省(Hebei)張北県(Zhangbei)では再生可能エネルギーフレキシブル直流送電網規範工事が行われ、北京の変換所でも絶え間なく対応が進んでいる。張北県で風力エネルギ-・太陽光エネルギー・バイオマスエネルギーなどで生み出されたクリーン電力がここに集められ、北京の送電網に送り込まれ、冬季オリンピック会場の「エコな運用」を保証する。

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「2022年北京冬季オリンピックの全ての会場では100%エコな電力供給を実現する予定で、これはオリンピック史上初のことです」と、北京冬季オリンピックの電力供給協力チームリーダーである徐志軍(Xu Zhijun)氏は言う。

 2020年6月29日、張北県で正式にフレキシブル直流送電網の使用が始まり、張家口市(Zhangjiakou)で発電されたクリーン電力が北京の送電網に流れ込んだ。冬季オリンピックのエコ電力運用に向けて、重要な一歩を踏み出したと言える。

 張北県には豊富な再生可能エネルギー資源があり、特に莫大(ばくだい)な風力エネルギーと太陽光エネルギー資源を誇る。以前は送電構造の脆弱性から、クリーンエネルギーの利用率は低かった。張北県のフレキシブル直流送電網の運用成功により、張家口市に多く存在する風力発電場や太陽光発電場はひとつの有機的な集合体となり、ネットワークに電力を乗せることの成功により、クリーン電力の全面的なアクセスや収集投棄、輸送が可能になった。

「このプロジェクトでは12の世界最先端技術を採用し、クリーンエネルギーの断続性・不均一性が送電網に与える衝撃を効率的に安定化し、生産や生活に利用できる安定したエネルギーに転換したのです」と、徐志軍氏は言う。フレキシブル直流送電は電力システムの中にコントロールできる「ポンプ」を組み入れるようなものであり、電力の安定的運用を実現する。

 例えば、風が強い時は電力が充足しているが、需要側で十分に消化できない問題がある。風が弱い時は供給も弱いが、需要側ではその時が電力使用のピークかもしれない。需要と供給の一致は非常に難しい問題であり、送電網の「フレキシビリティー」はそのコントロールと調節の実現を意味する。

 張北県に風力・太陽光保管輸送一体化装置が建造され、河北省豊寧満族自治県(Fengning Manchu Autonomous County)には揚水発電所が建設され、これが「貯水池」としての役割を果たす。電力供給に余裕のあるときはこれらを使ってエネルギーを蓄え、電力が不足しているときは送電を補充する。

 2019年1月30日、北京冬季オリンピック会場でエコ電力の消費が正式に始動した。現在までに、冬季オリンピック会場で消費された総電力は3億1800万キロワットであり、標準石炭換算で10万トン削減、二酸化炭素排出は25万トン削減することを達成した。

 冬季オリンピックにおけるクリーン電力運用は中国のクリーンエネルギー開発利用にブレークスルーをもたらすだけでなく、エネルギーの消費構造を変え、クリーンエネルギーが産業の高品質な発展に寄与する一助となるだろう。(c)People’s Daily/AFPBB News