【5月10日 People’s Daily】中国の「第14次5か年」計画と2035年までの長期目標綱要は、高速でユビキタス、天地一体化、統合・相互接続、安全で効率的な情報インフラ施設の建設を提案している。衛星ネットワークは、未来の通信産業発展のための重要な分野だ。2025年には、世界の衛星ネットワーク接続機器は2億台に達し、市場規模は約6000億ドル(約65兆3400億円)になると予測されている。

 北京市海淀区(Haidian)北部に位置する衛星試験エリアでは、銀河航天という民間企業の通信システム専門家が試験前の準備作業を行っている。数分後、低軌道ブロードバンド通信衛星が北京の上空を通過し、スタッフは携帯電話を使って衛星端末が提供するWiFiホットスポットに接続し、ビデオ通話を実現させた。

 この任務を遂行したのは、昨年1月16日に打ち上げに成功した銀河航天首発星だ。同社最高技術責任者(CTO)の朱正賢(Zhu Zhengxian)氏によると、現在は1基の衛星しかないため、信号受信可能な時間は衛星が通過するときに限られているが、軌道上の通信衛星が増え続けるにしたがって、ユーザーは途切れることなく信号を受信できるようになるのだという。

 科学技術の進歩は、世界の無線通信の状況や発展の見通しを変えている。そのうち、低軌道通信衛星コンステレーションは、そのフルカバレッジ、広い帯域、低コストなどの利点により、世界的なネットワークカバレッジのための新しいソリューションとして日増しに台頭している。

 航空宇宙事業で活躍する企業の多くは国有企業というのが多くの人が持っているイメージなので、なぜ民間企業もこの分野に参入するのかという疑問が出てくる。「民間商業宇宙飛行は柔軟で効率的だという利点があり、中国が低軌道ブロードバンド衛星ネットワークの建設を加速する上で重要な意義がある」と、北京市経済・情報化局航空航天産業処の艾浜(Ai Bin)処長は述べた。

 2015年に中国が宇宙分野への社会資本投資を奨励して以来、商業ロケットや衛星を代表とする商業宇宙企業は急速に成長し、現在は200社を超え、そのうち約90社が北京に集中している。

 昨年9月、中関村科学城の「星谷」建設プロジェクトが正式に発表された。このプロジェクトは中関村科学城北区で航空宇宙産業集積区を建設し、千億級の産業クラスターを構築するという計画だ。現在、同北区には多くの科学研究機関や革新企業が集まっており、衛星開発、地上局と端末設備、衛星計測・コントロール、衛星運営などをカバーする全産業チェーンのエコシステムを形成している。

「衛星ネットワークは孤立した産業ではなく、未来にはインターネット、人工知能(AI)、衛星応用などの各方面の人材を必要とするだろう。海淀区はまさにこれらの人材が成長する肥沃(ひよく)な土地だ」と、銀河航天の共同創業者の劉暢(Liu Chang)氏は述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News