【5月10日 AFP】中国国営の新華社(Xinhua)通信は9日、世界最高峰エベレスト(Mount Everest)のネパール側で登山者30人以上が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)疑いの体調不良を訴えたことを受け、中国当局が山頂に「隔離線」を設置すると報じた。

 中国は2019年末に世界で初めて新型コロナウイルスが確認された国だが、厳格なロックダウン(都市封鎖)や国境封鎖を行い、現在は国内の感染をおおむね抑え込んでいる。

 一方、ネパールは感染拡大の第2波に直面。エベレストのネパール側ベースキャンプでは、ここ数週間で30人以上の登山者が体調不良により緊急下山しており、登山シーズンへの新型コロナウイルスの影響が懸念されている。

 新華社によると、チベット(Tibet)自治区当局は記者会見で、エベレストの山頂や中国側の南斜面とネパール側の北斜面の接する場所で「最も厳格な防疫措置」を講じ、登山者同士の接触を避けると発表した。また、中国チベット登山協会(CTMA)会長が、山頂に登山ガイドが「隔離線」を設置すると説明したという。

 どのような方法で「隔離線」を設置するかは明らかにしていない。

 中国は新型コロナウイルス流行を理由に、昨年から外国人のエベレスト登山を禁止している。一方のネパールは、コロナ禍で観光業が壊滅的な打撃を受ける中、登山客を呼び込もうと記録的な数の登山許可証を発行している。(c)AFP