【5月10日 AFP】アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)は10日、今週始まるイスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」明けの祝祭「イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)」の3日間、全土で停戦すると発表した。2日前には、首都カブール西部にある女子校近くで生徒ら50人以上が死亡する爆発があり、タリバンは関与を疑われていた。

 タリバンは、戦闘員に攻撃停止を命じる一方、敵からの攻撃に備えて防戦態勢を固めるよう指示している。

 政府代表としてタリバンとの和平交渉を率いてきたアブドラ・アブドラ(Abdullah Abdullah)氏の報道官は10日、停戦発表を歓迎すると述べ、政府も停戦に応じる用意ができており、間もなく発表すると明らかにした。

 アフガン政府は、8日に起きた女子校近くでの爆発について、タリバンの犯行だと主張していた。事件が起きたダシュテバルチ(Dasht-e-Barchi)は、イスラム教シーア派(Shiite)が多数を占める少数民族ハザラ人(Hazara)の居住地域で、これまでもたびたびイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派の標的にされてきた。

 女子校近くで一連の爆発が起きた際、住民の多くはイード・アル・フィトルの準備のため買い物に出ていた。50人以上が死亡、100人以上が負傷し、この1年以上で最多の死者を出す攻撃となった。

 タリバンは関与を否定しており、停戦発表に先立ち、アフガンは国家として教育施設や教育機関を守らなければならないと主張していた。

 遺族らは9日、ダシュテバルチへの攻撃で亡くなった人々が葬られる「殉教者の墓地」と呼ばれる丘に遺体を埋葬した。

 現地で取材したAFPカメラマンによると、今なおショックと恐怖が消えない様子の会葬者らは、木のひつぎに納められた遺体を墓穴に下ろしていった。

 住民の一人は、「(爆発の後で)現場に駆けつけると、手や頭がちぎれ、骨が砕けた遺体がいくつもあった」と語った。娘2人もこの女子校に通っていたが、難を逃れたという。「全員女の子。遺体が折り重なっていた」と話した。

 現場は、教科書や学生かばんが散乱したままになっていた。(c)AFP/Jay Deshmukh and Emal Haidary