【5月8日 AFP】ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)ロのファベーラ(貧民街)で、警察の強制捜査により25人が死亡したことを受け、現地では7日、警察に対する抗議デモが行われた。冷酷な殺され方をした人もいたとの証言もあり、国連(UN)は調査を求めた。

 現場となったジャカレジーニョ(Jacarezinho)の貧民街には数百人が集まり、「私たちを殺すのはやめろ!」と訴えた。デモ隊は警察本部前を行進し、警察による「虐殺」を非難。この他にも複数の抗議デモが行われた。

 6日の強制捜査では、容疑者24人と警官1人が死亡。同市では、黒人が住民の大半を占める貧民街を中心に、暴力事件や警察による容疑者殺害が常態化しているが、人権団体によれば、今回の死者数は警察の作戦によるものとしては過去最多となった。

 警察は、警官以外の死者は全員が「犯罪者」だったと主張。発砲は警官の行動規定に従って行われたとし、捜査で押収された大量の銃器や麻薬を公開した。しかし目撃者や容疑者の家族の話、ソーシャルメディアに投稿された映像からは、警察の行動に対する疑念が浮上している。

 住民の女性はAFPに対し、2階部分にある自宅アパートに負傷した若い男が逃げ込んできたと説明。血痕をたどって入ってきた警官は「何も言う時間を与えず」に男を即座に殺害したと話した。

 ニュースサイト「UOL」によると、別の女性の夫(32)はパンを買いに出掛けたところ、警官に至近距離から撃たれた。女性は目撃者から聞いた話として、警察が夫の脚を撃った上で、「夫に近づいて処刑した」と主張。「処刑だった。殺すことが目的だった」と語った。夫は建設現場とピザ店で働き、犯罪には関与していなかったという。

 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のルパート・コルビル(Rupert Colville)報道官は7日、スイス・ジュネーブで開いた記者会見で、「深い憂慮」を表明。検察当局に対し、「徹底的かつ公平な独立調査」を求めた。(c)AFP/Joshua Howat Berger