【5月8日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は7日、米国が提案した新型コロナウイルスワクチンの特許権放棄について、議論する用意はあるが、より重要なのは米英がワクチンとその原料の輸出規制を撤廃することだと訴えた。

 欧州連合(EU)首脳会議に出席するため、ポルトガル・ポルト(Porto)を訪問したマクロン氏は記者団を前に、「アングロサクソン(英米)は、原料やワクチンの多くを囲い込んでいる」と主張。「米国で生産されたワクチンの100%が米市場向けだ」と指摘した。

 一方でEUはこれまでに2億回分以上のワクチンを輸出しており、欧州委員会(European Commission)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は、欧州が「世界の薬局」であることを示すものだと述べている。

 米国は今週、世界保健機関(WHO)やインド、南アフリカなどの国々が推進してきた特許権放棄についての姿勢を突如転換し、支持を表明。マクロン大統領の発言は、EU諸国が米国の提案に対して持つ懐疑的な見方を浮き彫りにした。

 フォンデアライエン氏とマクロン氏は議論に前向きな姿勢を示しており、マクロン氏は、特許に関する議論は「有益」であり、反対しているわけではなく「特許権放棄がいかに有効か、疑問を抱いているだけだ」と説明。一方、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は特許権放棄に強く反対している。(c)AFP