【5月7日 AFP】欧州連合(EU)のティエリ・ブルトン(Thierry Breton)欧州委員(域内市場担当)は6日、長期にわたる協議を経て昨年末「大枠合意」に至ったEUと中国の大規模な投資協定について、合意というより「方針」のようなものであり、当面実現しないだろうとの見解を示した。

 協定は、EU閣僚理事会でドイツが議長国を務め、任期終了間際だった昨年12月に合意に達し、多方面から驚きをもって受け止められた。

 仏元財務相のブルトン氏は米シンクタンク「大西洋評議会(Atlantic Council)」に対し、合意に至ったのは、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権とジョー・バイデン(Joe Biden)現政権が移行する「暫定期間」中だったと指摘した。

 協定の行方は現在、極めて不透明となっている。ブルトン氏の発言に先立ち欧州委員会(European Commission)も、中国とEUが制裁の応酬を繰り広げており、貿易協定の批准準備を停止せざるを得なくなったと認めていた。

 在中国の欧州連合商工会議所(EUCC)のイエルク・ブトケ(Joerg Wuttke)会長は7日、「投資包括合意は、この先長期にわたり実現しないと私は思う」と述べた。

 ブトケ氏は、制裁は適用するより解除する方が難しいものだと語り、EU・中国双方のトップに譲歩する政治的余地がないように思えると指摘。「良い合意だと思っていたので残念だ」と述べた。(c)AFP