【5月12日 AFP】無料のビール、無料のドーナツ、無料の野球観戦チケット、無料の貯蓄債権──。米国の政府と民間は連携して、あの手この手で新型コロナウイルスワクチンの接種を奨励している。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は、7月4日の独立記念日(Independence Day)までに成人の70%が少なくとも1回の接種を終えることを目指している。だが、目標達成には国民のワクチン忌避感情を克服することがカギとなる。

「接種を受けるためにちょっとした励ましが必要な米国民が数百万いる」と大統領は4日、ホワイトハウス(White House)で記者団に語った。

 今月6日の時点で、米国成人の約56%、すなわち1億4500万人強が少なくとも1回のコロナワクチン接種を受けているが、最近はペースが鈍化している。

 連邦、州、地方の行政当局は、製薬会社、飲食店、ビール醸造所、スーパーマーケット、スポーツチームなどと提携しながら、ワクチン接種の奨励策を考案している。

 ニュージャージー州では、フィル・マーフィー(Phil Murphy)知事が「ショット・アンド・ビール(Shot and a Beer、注射でビール1杯)」というキャンペーンを開始。「5月中に1回目のワクチンを打った(21歳以上の)ニュージャージー州民は、接種証明カードをキャンペーン参加中の醸造所に持っていけば、ビール1杯を無料でもらえる」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 コネティカット州のネッド・ラモント(Ned Lamont)知事は先月、レストランと提携で同様の「フリードリンク(Free Drink)」企画を発表した。

 首都ワシントンのミュリエル・バウザー(Muriel Bowser)市長は住民にこう呼び掛けている。ジョン・F・ケネディ・センター(John F. Kennedy Center for the Performing Arts)で「接種を受けて、こちらのおごりでビール1杯どうぞ」。

 ニューヨーク州のアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)知事は、ニューヨーク市を本拠とする米大リーグ(MLB)の2チーム、ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)かニューヨーク・メッツ(New York Mets)が試合を行う際に、スタジアムでワクチン接種を行うと発表。「ワクチンを打てば、ヤンキースかメッツの無料の観戦チケットがもらえる」と呼び掛けた。