【5月7日 AFP】インドで昨年の新型コロナウイルスの流行により、貧困層が約2億3000万人増加したことが、5日に発表された研究で明らかになった。最も大きな打撃を受けたのは若者と女性で、現在の第2波で事態はいっそう深刻化する恐れがある。

 南部ベンガルール(旧バンガロール、Bangalore)のアジム・プレムジ大学(Azim Premji University)が発表した研究報告書によると、昨年3月から数か月続いた厳格なロックダウン(都市封鎖)で約1億人が失業し、うち約15%は昨年末の時点でも就業できていなかった。

 女性労働者は特に厳しい状況に置かれており、約47%は、ロックダウンが解除されても就業できなかった。

 この研究では、1日375ルピー(約550円)未満で生活する人を貧困層と定義。新型ウイルスの流行で全体的に収入が減少したが、貧困世帯の打撃が特に大きかったという。

 執筆者の一人、アミット・バソレ(Amit Basole)氏は、「言うまでもなく、流行の第2波で事態はいっそう深刻化する」と述べた。

 多くの世帯が食費を切り詰めたり、借金をしたりして収入減に対処してきたが、アンケート回答者の20%は、ロックダウン解除から半年後の時点でも食事量が改善していないと答えた。

 昨年のロックダウンで、大勢の出稼ぎ労働者が故郷に帰った。多くは経済活動再開後に都市に戻るつもりだったが、ロックダウン中に失業した25歳未満の3人に1人が、昨年末の時点で再就業できていない。

 執筆者らは政府に対し、財政出動の拡大を要請。社会経済的に最も弱い立場にある家庭に食料の配給や現金給付を行い、新型ウイルスの流行が特に深刻な地域で雇用対策事業を行うよう求めた。(c)AFP