【5月7日 AFP】2024年米大統領選で共和党の有力候補の一人と目されるフロリダ州のロン・デサンティス(Ron DeSantis)知事が6日、郵便投票を制限し、有効な投票者身元証明を義務付け、選挙運動への民間資金投入を禁じる州法に署名した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の支持者には歓迎される内容だが、あからさまな投票妨害だとして批判の声が上がっている。

 共和党が主導権を握る各州では、昨年の大統領選で不正があったとするトランプ氏の根拠のない主張を受けて、選挙関連法の改定が進む。フロリダ州もその一角に加わった形だ。

 デサンティス知事は、退任したトランプ氏が居住するパームビーチ(Palm Beach)の高級リゾート施設「マーアーラゴ(Mar-a-Lago)」近くで署名式典を行ったが、それ自体が物議を醸した。式典にはトランプ氏支持者が出席し、入場を許可されたテレビ局はトランプ氏寄りと広く受け止められているFOXニュース(Fox News)のみで、地元放送局すら閉め出された。

 デサンティス氏は、この州法によって「選挙のセキュリティーを強化する」と宣言。署名に当たり、議論の的となっている郵便投票回収箱の設置場所に関する制限の正当性を主張した。

 昨年11月の大統領選では、新型コロナウイルス流行の影響で郵便投票を行った人の数は、共和党支持者よりも民主党支持者の方が多かった。郵便投票は、トランプ氏のライバルだった民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)現大統領に有利な結果をもたらした。再選に失敗したトランプ氏は十数州で選挙不正を訴えたが、いずれも却下された。

 新法をめぐっては、投票を抑圧するのが目的だとの批判がある。全米黒人地位向上協会・法的防衛基金(NAACP Legal Defense Fund)は、「フロリダ州の全有権者に影響する障壁と負担を生み出し、黒人有権者、ラテン系有権者、障害のある有権者の投票能力に不均衡な影響を及ぼす」と非難した。

 米国の選挙では運転免許証などの身分証明書(ID)によって本人確認が行われるが、低所得層やマイノリティーの中には有効なIDを持っていない有権者がいる。(c)AFP