【6月3日 AFP】キューバの街中では、かなり年季が入った米国製の車を日常的に見かける。パブロ・マンソ(Pablo Manso)さんが生計を立てている極めてニッチな仕事、それは1955~57年製の米国車シボレー(Chevrolet)の修理だ。

 共産主義を掲げる島国の中部にある小さな町、プラセタス(Placetas)。独学で技術を身に付けたマンソさんは、15年前に自宅に建てた工房で仕事に精を出している。

 キューバは米国による経済制裁で、自動車やその部品、修理用機械などの輸入が制限されている。マンソさんは自ら組み立てた機械で、シボレーの部品を再現する。「現代の車には興味はありません」と53歳のマンソさんは肩をすくめる。

 昼夜を問わず働き、試行錯誤を繰り返し、何年もかかって独学で技術を習得したマンソさん。「何度も頭をかきむしりました」と笑う。

 そんな努力が実り、今日では国内各地やさらに遠方から、車を走らせ続けたいシボレーのオーナーが、マンソさんを頼ってくる。

 注文は米国、カナダ、イタリア、スペインからもある。「たくさんの国から部品の依頼が来ています」とマンソさんは誇らしげだ。

 マンソさんによると、シボレーが「近代的なモデルへと大いなる飛躍」を遂げて「黄金期」を迎えたのは1955年から1957年にかけて。だからこの年代の修理を専門としている。自分でも赤白ツートンの55年製ベルエア(Bel Air)を所有している。ほとんどが純正部品だが、エンジンは劣化には勝てず、同国を走る大半のシボレーと同じく他社製を搭載している。(c)AFP/ Katell ABIVE