【5月7日 AFP】中国は6日、ニュージーランド議会がウイグル人に対する人権侵害に「重大な懸念」を表明する動議を可決したことを受けて、「事実無根」と反発した。ニュージーランドが最大の貿易相手国である中国と、欧米同盟諸国との間で板挟みになっている現状が浮き彫りになった。

 ニュージーランド議会は5日、中国当局による新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での人権侵害をめぐり「重大な懸念」を表明する動議を全会一致で可決した。

 野党側が提出したこの動議で、ジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相率いる与党・労働党は「ジェノサイド(大量虐殺)」への言及を削除するよう主張した。結果、「ジェノサイド」への言及を避けたにもかかわらず、中国の反発を避けることはできなかった。

 在ニュージーランド中国大使館は声明で、ニュージーランド議会は中国の主権に関する問題に干渉したと批判。「この動きは中国に対する甚だしい内政干渉であり、国際法と国際規範に反する」と述べた。

 さらに「中国側はこうした行為に遺憾の意を表し、断固反対する」と続け、今回の決議は「中国とニュージーランド相互の信頼を損なう」と述べた。

 アーダーン政権は中国による人権侵害批判に及び腰で、ニュージーランドは米国主導の5か国の情報機関による多国間協定「ファイブアイズ(Five Eyes)」の弱点になっていると非難されている。

 アーダーン氏は今週、中国との間で人権をめぐる見解の相違が一段と解決困難になっていることを認める一方、今後も懸念事項について中国政府に指摘していくと述べた。(c)AFP