リヒテンシュタインの王子、ルーマニア「最大」のヒグマ射殺か
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【5月6日 AFP】ルーマニア当局は5日、カルパティア山脈(Carpathian Mountains)でリヒテンシュタインの王子が狩猟中に、巨大ヒグマを違法に射殺した疑いがあり捜査中だと明らかにした。
動物愛護団体は、エマニュエル王子(Prince Emanuel)が3月、オーストリアの自邸からルーマニアに狩りに来た際、同国「最大」とされる17歳の雄のヒグマ「アルトゥール」を射殺したと非難している。
ルーマニア国家環境監視庁(NEG)のオクタビアン・ベルセアヌ(Octavian Berceanu)長官はAFPに対し、書類の不備が発覚したため、中部に生息する保護種のクマ1頭の死について先月29日に調査を開始したと説明した。
同氏は「雌のクマが駆除されることになっているのは知っていたが、発見したのは(死んだ)雄のクマだった」と述べた。クマの死骸は国内にあるという。
NEGを監督するバルナ・タンツォシュ(Tanczos Barna)環境相は、コバスナ(Covasna)で住民を脅かしていた雌クマの狩猟許可は下りていたと述べたが、誰に許可したのかは明らかにしなかった。
ルーマニアの環境保護団体「エージェント・グリーン(Agent Green)」と工場畜産に抗議するVGTのオーストリア支部は、射殺されたのはアルトゥールだと断定している。アルトゥールは長年、自然保護区でエージェント・グリーンのレンジャーが観察していた。
エージェント・グリーンのガブリエル・パウン(Gabriel Paun)代表は、「アルトゥールは、ルーマニアだけではなく欧州連合(EU)でも、確認されているヒグマとしては最大だった」と述べた。
パウン氏は「王子は村の住民が抱える問題を解決するために来たのではなく、クマを殺して、最大の勲章として壁に飾るために来たことは明らかだ」と主張している。
AFPはエマニュエル王子の家族がオーストリアに所有する城の事務所に取材したが、回答は得られなかった。
リヒテンシュタインのアロイス皇太子(Hereditary Prince Alois)側はAFPに対し、「個人的な問題」であり、経緯を把握していないと述べた。(c)AFP