【5月9日 東方新報】日本で長年人気を誇っているアクションゲーム『真・三国無双(Dynasty Warriors)』の実写版映画が香港で制作され、5月1日からの労働節連休に合わせて中国全土で上映が始まった。大物スターが出演し、ゲームファンの間では「ゲームの世界を忠実に再現している」と評判の一方、「本当の三国志と違いすぎる」「関羽のイメージが全然違う」などの批判も。興行成績は伸び悩み、「大コケ作品」という厳しい声が出ている。

 本作品は、香港の映画制作会社「China 3D」がコーエーテクモゲームス(旧コーエー、Koei Tecmo Games)と3年の交渉を経て映画化権を獲得。制作費3億香港ドル(約42億円)をかけ、2017年から中国やニュージーランドで撮影が行われた。

 監督は、『殺人犯(英題: Murderer )』や『黃飛鴻之英雄有夢(邦題:ライズ・オブ・ザ・レジェンド 炎虎乱舞)』などの名作を手掛けてきた周顯揚(ロイ・チョウ、Roy Chow Hin Yeung)。配役は、中国で絶大な人気を誇る俳優・王凱(ワン・カイ、Wang Kai)が曹操(Cao Cao)、元アイドルで歌手兼俳優の韓庚(ハン・ギョン、Han Geng)が関羽(Guan Yu)、多くの作品に主演しているベテラン俳優・古天楽(ルイス・クー、 Louis Koo)が呂布(Lv Bu)、「新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のビーナス」とも呼ばれるウイグル族の女優・グーリー・ナーザー(Gulnazar)が美女・貂蝉(Diaochan)を演じている。ハリウッド(Hollywood)の『マトリックス リローデッド(原題:The Matrix Reloaded)』『スパイダーマン2(原題:Spider-Man 2)』のアクション指導を手がけた林迪安(ディオン・ラム)がアクション監督を務め、音楽は日本の音楽家・波多野裕介(Yusuke Hatano)が担当している。ネットフリックスが夏ごろ全世界に公開することも決まっている。

 作品では、三国志最大の悪役・董卓と曹操率いる反董卓連合軍の戦闘や、劉備(Liu Bei)・関羽・張飛(Zhang Fei)が呂布と戦う有名シーンを通じて、一騎当千の大迫力バトルを繰り広げている。関羽の青龍偃月刀が炎を放ち、呂布の方天画戟から放たれる雷が幾千の雑兵を吹き飛ばし、武将同士が上空を飛び交う激しい戦闘など最新鋭のVFXを使ったシーンが繰り広げられ、ゲームファンの若者の間で「ゲームでの爽快感あふれるアクションがスクリーンでよみがえっている」と評判だ。

 しかし、中国本土で上映初日の5月1日、興行収入は、他のヒット作品の10分の1以下の560万元(約9445万円)にとどまり、早くも「大失敗作品」と報道されている。ゲームを知らない多くの市民には「古典的な三国志の世界とあまりに違いすぎる」「荒唐無稽」と拒否反応が強いようだ。また、関羽を演じる韓庚に対し「関羽のイメージと全く違う」「劉備よりも背が低い関羽などあり得ない」とバッシングが集中。中国では三国志の登場人物で関羽が最も人気が高い武将だけに、評価は厳しい。「この映画では主役である曹操役の王凱が、董卓(Dong Zhuo)役の林雪(ラム・シュー、 Lam Suet)の演技に食われている」という声もある。

 日本の三国志ゲームが本場・中国に「逆輸入」され映画化したが、中国人なら誰もが知る三国志の物語だけに、辛口の意見が殺到している。(c)東方新報/AFPBB News