【5月7日 AFP】7万8000年前、ケニア沿岸部の洞窟で3歳に満たない幼児が埋葬されていたとする論文が5日、発表された。論文によると、アフリカで発見された人間の埋葬としては最古の事例で、幼児は両脚を注意深く胸の前に引き寄せた形で横向きに寝かされていたという。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、このパンガヤサイディ(Panga ya Saidi)洞窟に掘られた墓穴からは、同じ地域のより新しい石器時代の墓で出土しているような装飾品や供物は見られなかった。

 スワヒリ語で「子ども」を意味する「ムトト(Mtoto)」と名付けられたこの幼児は、布で包まれ、枕らしきものに頭部が乗せられていた。これは「コミュニティーが、何らかの形で葬儀を行った可能性を示している」と、論文の筆頭著者でスペイン・ブルゴス(Burgos)の国立人類進化研究センター(National Research Centre on Human Evolution)長であるマリア・マルティノン・トレス(Maria Martinon-Torres)氏は述べる。

 今回の希少な発見で注目されるのは、現生人類ホモ・サピエンス(Homo sapiens)の複雑な社会的行動と、アフリカとその他の地域のホモ・サピエンスの間の文化的な差異の両方が出現していることだ。

 この洞窟では、この幼児の骨の破片が2013年に出土していたが、洞窟の地下3メートルの深さにある浅い円形の墓を完全に発掘するには、その後5年を要した。墓からは、分解の進んだ一塊の骨が見つかった。

 その後の顕微鏡分析とルミネッセンス年代測定によって、ムトトは墓の周囲を掘った土で丁寧に埋められた状態で約8万年間、静かに眠っていたことが確認された。