【5月6日 AFP】中国は6日、オーストラリアとの戦略経済対話を停止したと発表した。中国の巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」への豪地方政府の参加協定を豪政府が破棄し、中国企業に対する豪北部ダーウィン(Darwin)港の貸与契約を見直す方針を示したことへの報復とみられる。

 中国の政策立案機関「国家発展改革委員会(NDRC)」は、豪政府の「現在の姿勢」を理由に、中豪戦略経済対話の枠組みに基づく「全活動を無期限に停止する」と発表。一部の豪政府高官の「イデオロギーに基づく差別」を非難した。

 戦略経済対話には豪中間の貿易を双方向で促進し、中国の投資家をオーストラリアに呼び込む狙いがあり、豪政府はこれまで「最も重要な対中経済協議」の一つに位置づけてきた。だが、両国関係はこのところ急速に冷え込んでいる。

 スコット・モリソン(Scott Morrison)豪政権は先月、豪ビクトリア(Victoria)州政府が中国政府と結んだ「一帯一路」参加協定を破棄。今週には、ダーウィン港を中国企業に99年間賃借する契約について、破棄も検討しつつ見直しを行うと発表していた。

 ダーウィン港は豪北部で最も重要な港で、アジアに最も近く、また米海兵隊の巡回駐留する基地がすぐ近くにある。豪政府の発表に中国は激しく反発し、すでに亀裂の入った両国関係に「深刻な損害」をもたらすと警告していた。(c)AFP